魔界とは

地理

魔界は複雑な多次元構造である。人間界で"地獄"、"黄泉"、"奈落"、などと呼ばれるものは全て、多数存在する平行世界の一つに過ぎない。

魔界の全様を知る者はごく少数である。

次元を越えて移動できる力を持つ魔物は限られている。その上、魔界の構造を解明しようと試みる好奇心旺盛な魔物となると、さらに稀だ。

そして、ついに全様の解明に成功した(と思われる)者も、なぜか、その成果を公表しようとはしないのだ。

ただ、それぞれの次元は環のように連なっていることは確実なようだ。これを次元連環と呼ぶ。

人間界や天界なども、この次元連環に連なる一つの平行世界に過ぎないという説もある。が、これはいささか暴論といえよう。

歴史

実のところ、魔界はこれまでにも"停滞期"と"戦乱期"を繰り返してきたようだ。それはおよそ数千年という壮大な周期である。

"停滞期"の終わりには、常に強大な力と指導力を持った"英雄"的存在が現れてきた。一般に"魔王"と呼ばれる存在である。

多くの場合、複数の"魔王"が同時期に現れることが多い。そして衝突する。"戦乱期"である。

今、自ら"魔王"を名乗る存在が現れたことで、"停滞期"は終焉を迎えようとしている。

社会

魔界においては、驚くほど厳格な階級社会が成立している。上位の者は下位の者を使役し、搾取する。

ほとんどの魔物は、このことに疑問すら抱かない。自らが搾取されている事実に気づかないほど愚かな魔物も多いだろう。

"停滞期"にあっては、階級は世襲制である。能力や戦功による出世など、望むべくもない。高い能力を持ちながら低い階級に甘んじている者も多い。

彼らは、──自力では人間の一人も殺せないような!──無能な魔物の下で理不尽に使役され、暇つぶしのためだけに人間界に駆り出されては、供物(主に霊魂や血肉など)を集めるのだ。

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